24.ワラ人形とビスケットの天ぷら(西和賀町) 3月10日記事

昨春に、西和賀町の幹線国道沿いにある
男性シンボルを付けた巨大ワラ人形に興味を引かれ、
縁あって、集落でワラ人形を作る行事に参加しました。

(参照)14.国道わきのオブジェ〜湯田乳業(西和賀町) 10月26日更新

朝、下前(したまえ)集落の公民館に入ると、
すでに住民たちがワラを広げて作業をしていました。
まず、人形の頭・手足・男根などのパーツを作っていき、
約1メートルの人形として、パーツをつなぎ合わせ、
ちょんまげ、裃、顔を作るというものです。



悪戦苦闘したのが、ワラを縄状にすることです。
何度教えていただいても、きれいな縄にはならず、
「来年までに作れるようになれよ」と笑われながら、
ひじの関節を作るなど別の作業をさせていただきました。

午後、人形に家族の人数分の団子を吊るして、
全員で参拝をし、人形を屋外に出します。



集落を練り歩くのは、厄年の人形を担ぐ者と、
太鼓やホラ貝を鳴らす者、そして住民らなのですが、
道中の大半で人形を担がせてもらったほか、
残りの区間も太鼓を叩かせていただきました。

さて、集落を練り歩くと、途中の家々の玄関先で、
酒や菓子、漬物などがテーブルに並ぶのです。



そこで、やっと出会えました。
西和賀の家庭的郷土料理・おやつである
「ビスケットの天ぷら」です。
衣のベースがもち米粉になっており、
まず、もちもちとした食感から始まります。
そして、ビスケットがしっとりとしており、
これまでに食べたことの無い味と食感が得られます。
ビスケットのほんのりとした甘さもクセになります。

送りでは主役級の役割を与えてもらったほか、
送った後の宴会でもてなしていただき、
また、すれ違うたびに声を掛けていただくなど、
人々の温かさに触れ、余韻は帰りの道中まで続くのでした。



皆さまのご意見やご感想をお待ちしております。

−おさらいメモ−

下前厄払い人形送り(したまえやくばらいにんぎょうおくり)

 旧暦2月10日に下前(したまえ)集落で行われる行事で、現在は、3月第1日曜日に行われている。男性のシンボルを強調したワラ人形を作り、厄災を背負わせて集落外に追い出すとともに、1年間集落に厄災を入れないようにする儀式である。
 付近の左草(さそう)、白木野集落でも同様の風習がある。また、幹線国道沿いの湯田乳業直売店「結ハウス」前にある5メートルの巨大ワラ人形は、これら風習のワラ人形をモデルとしている。
 
 ・8時〜集落の人々が公民館に集まり、
  ワラ人形を作る。
 ・13時〜人形に家族の人数分の団子を
  吊るして、人形に参拝をし、
  集落入口まで人形を運び、
  入口脇の木に縛り付けて参拝する。
 ・厄年の者が人形を担ぐのが原則。
 ・運びながら子どもらが太鼓とホラ貝を
  鳴らし悪霊を呼び出す。
 ・集落に厄災を入れないよう1年間
  縛り付けたままにする。



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