9.心の支え〜鉄路その2 8月12日記事

カンカンカンと踏切の警報音が鳴り、
黒と黄色に塗られた見慣れた踏切を
ほどなく真っ赤なバスが横切っていく。
郊外の国道から接続する茶色に塗られた
1車線のアスファルト道路への侵入を
阻むように閉まったままの遮断機。
これがJR大船渡線の日常の光景です。












これは大船渡市盛(さかり)にある三陸鉄道南リアス線と
JR大船渡線のBRT(バス)が乗り入れる盛駅で、
震災まではごく普通の列車の乗り換え駅でした。


盛駅のホーム 線路部分が三陸鉄道 バスがある舗装道路部分が大船渡線のBRT

震災による津波で大きな被害を受けたJR大船渡線の気仙沼-盛間は、
震災後の高台への集落移転に対応した
線路の移設に要する莫大な工事費用と時間を考慮し、
新路線復旧までの「仮復旧」として線路跡を
バス専用道として利用したバス「BRT」を運行していましたが、
この7月にJR東日本から地元自治体等に対して、
鉄路での復旧を断念しBRTで路線整備をする方針が
正式に示されました。

BRTは、路線変更が比較的容易でバス停を多数配置できるなど
小回りの効く乗り合いバスの利点と、
渋滞など一般道の交通状況の影響を受けづらく
定時到達性が図られる鉄道の利点、
両方を活かすことが可能な交通システムなのです。


盛駅(JR東日本と三陸鉄道の駅)

鉄路を失う地域の苦悩は計り知れませんが、
地元が提案を受諾するならば、BRTのメリットを
最大限活かせるようなまちづくりをしてほしいものです。

ちなみに、盛岡市のように入り組んだ狭い道路が多く、
慢性的な渋滞が発生する城下町においては、
朝夕の時間帯で運用されるバスレーンが設置されても
定時到達性がまったく担保されていないのが実情です。
市内中心部への一般車両の流入を
時間帯別に規制する必要があると感じるとともに、
BRTのような専用道による交通システムの導入を
検討する必要があると感じます。


大船渡編 〜完〜
皆さまのご意見やご感想をお待ちしております。


−おさらいメモ−

BRT交通システム

バスによる大量輸送公共交通機関であり、バスの弱点である定時到達性を向上させるため、@専用道路及び専用車線の設置。A交差点等でのバス優先システム導入。B駅・バス停などバス車内以外での料金収受。Cバスとの段差解消のためのプラットホーム設置。などが整備された公共交通機関のことである。ただし、一般の乗り合いバスとBRTの区別については、BRTに明確な定義が定まっておらず、上記@からCの一部の整備でも定時到達性が向上した場合にBRTと呼称することがある。
JR大船渡線のBRTについては、線路の路盤をアスファルトで整地して一般車両進入不可のBRT(バス)専用道路としている。また、被災して専用道路を整備することができない区間や公共施設、住宅の高台移転などにより利用者の利便性を向上させる場合に一般道路を利用するものである。



 

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