15.奇跡の一本松 11月17日記事

沿岸沿いに陸前高田市内へと入ると、
まず目に飛び込むのが、5階建ての雇用促進住宅の廃墟で、
4階まで津波が来たことを示すように、
5階の部屋にのみ窓ガラスが残っています。

さらに走らせると、旧道の駅の廃墟があり、
辺りはかさ上げの土の山と巨大ベルトコンベアの世界です。



その中に、奇跡の一本松はあります。
約7万本の高田松原で、20メートルを超える津波に耐え、
震災直後に生き残った数本のうちの一本なのですが、
その後の熱心な保存活動の甲斐なく、
長時間の水没、あるいは海水による塩分が原因で、
最終的に枯死してしまいます。

これを1億5千万円かけて人工物に置き換えたのですが、
すべて寄付金でまかなったとはいえ、
真っ先に手を付けるべきものだったかなどの批判があります。

とあるお店では「一本松が立っても何の恩恵もない」と言い、
一本松近くの道の駅だけが潤っているとの声もあります。
当初経済効果は5億円と言われていたのですが、
これが一部の業者に偏っている可能性もあります。



一本松と道の駅から現在の市街地が離れていて、
一本松への来訪者による経済効果が十分に及んでいないのです。
これは、かさ上げ工事が完了し、市街地が再編されれば、
また、一本松周辺が国の管理する公園として整備されれば、
解決されるのかも知れないのですが、
年月を要する工事に、その時まで彼らは待てるのでしょうか。

一本松が住民によって心のよりどころになるのはいつの日か。

陸前高田編 最終幕/全5幕
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