12.二つの階段 9月25日記事

陸前高田市気仙町の山際に
生い茂る雑草に囲まれ建物の基礎だけが残った一角があり、
建物の玄関と思われる場所に供養のためか大きめの丸い石と、
数週間経過したと思われる枯れた菊の花束が置かれています。


公民館跡には基礎が残る

東日本大震災では、避難所などに避難したものの
避難したまま津波が原因で亡くなるという事例が多数あり、
避難所の指定、周知など防災行政に多くの課題があることを
あらためて思い知らされるのです。

テレビ報道によれば、当時、避難所であったこの公民館に
地区住民40人ほどが避難していたものの、
地形上、海側の状況を把握できず、
危機を察知した時はすでに津波が迫っており、
多数の住民が逃げ遅れたというものでした。


公民館すぐわきの階段 30段程度先には崖があるのみ

さらにここでの悲劇が重なります。
ここは地元の人いわく「一番かわいそうな階段」。
公民館すぐとなりの写真右側に見える階段を上って避難しようにも、
階段が高さ3メートル程度で終わっており、
その先は崖で道はなく、
登るには枝などを掴んで這い上がるなどかなりの体力を必要とします。
ここで力尽きた住民が多数。

一方、少し離れた左側の階段は中腹の神社までつながっており、
多くの人が助かったそうです。
「運命」と言ってしまえば、それでおしまいかも知れませんが、
これらを教訓に次の災害に備える必要があります。


100mほど海側の神社への階段を上った住民は助かった

深く生い茂りつつある雑草を隔てた向こうは、
狭い道路にダンプカーが行き交う復興のステージ。
雑草に囲まれたここだけが夏を思わせる日差しを浴びながら
静かに、静かに時を刻むのでした。

陸前高田編 第2幕/全5幕
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